2014年3月12日水曜日

冨田祥史先生のお話

2014年3月12日

少しずつ春の足音が近づいている日和となってきました。
桜のつぼみも膨らんで来る様に、医学会の構想も大きくなって来ています。
更なる発展に向かって、今月も頑張って参りましょう!!

さて、医療の現場では、様々な理論を基に、「病」の原因を追究していくための臨床研究が行われています。まだエビデンスが出されていない理論だとしても、時として実践しながら、治療の根拠を見つけて行く道も存在します。

今回は医学会会員、冨田先生にご登場していただきましょう。
冨田先生はYNSA(山元式新頭針療法)という頭鍼術を全国に広めています。
日本鍼灸療術医学会はこのYNSAについての公式なヒト実験の臨床研究を日本で初めてスタートさせました。結果が楽しみです。

会員の皆さん初めまして、大阪で難病専門治療院をしている冨田祥史
 (とみたよしふみ)と申します。
今日は治療の考え方として画期的であるにも関わらず、あまり臨床に
取り入れられていない世界的に有名な免疫学者、新潟大学教授安保先生の
提唱されている福田・安保理論、自律神経免疫学についてお話させて頂きます。

「病いは気からの免疫学、自律神経免疫学」
私が使う難病治療のひとつの考え方に福田・安保理論による自律神経免疫
療法があります。新潟大学の安保徹先生によって提唱された自律神経免疫学
は、ストレスや心理状態によって自律神経が変動するだけでなく、免疫力の
本体である白血球の状態も変化する事をつきとめられました。つまり、心と
身体が密接な関係にある事が生理学的に裏付けられたのです。

「人間の自律神経には交感神経と副交感神経がある」
日本鍼灸療術医学会のなかでも講義がありましたように人間の自律神経
には「交感神経」と「副交感神経」があります。身体が興奮した時は別名
「狩人の神経」とも呼ばれる交感神経が働きます。交感神経は獲物を追い
かけ、戦っている時に強く働きます。また、交感神経が興奮していると、
怪我をした時の出血量を減らすために毛細血管は収縮して血流が悪くなります。
一方で副交感神経は「リラックスの神経」と呼ばれ、身体がリラックスして
いる時や回復する時に働く神経です。
副交感神経が働いている時、毛細血管は拡張し、血流が増えて胃腸の蠕動
運動が活発になり、新陳代謝が促進され身体は食物を分解してエネルギーを
蓄えようとします。つまり身体の再生が起こりエネルギーの蓄積が行われ
ますます。
交感神経と副交感神経、この二つの自律神経が拮抗的に働く事で人間の
身体は興奮と安静のバランスをとっているのです。
福田?安保理論では体が興奮すると自律神経の交感神経が興奮し、身体の
白血球のうち顆粒球が増えて、活性酸素が発生し、組織破壊が起こると
考えます。パーキンソン病やアミトロ(ALS)などの神経性難病は、交感神経
の異常興奮によって活性酸素が発生し、脳の機能が破壊されて起こると考え
られています。つまり心理的なストレスや間違った生活習慣などで交感神経
が興奮して脳内の血流不全と組織破壊が起こるのです。「病いは気から」と
よく言いますが、実際にストレスが内蔵の機能不全を引き起こすのです。

「血液検査で自律神経のバランスが分かる」
また自律神経の乱れは血液検査でも知る事ができます。通常健康なヒトの
リンパ球の比率は35~41%と言われていますが、ストレスが強く交感神経
優位な方はリンパ球の比率が30%以下になっていることが多く、反対に
アレルギー体質の方は41%以上になっていることが多いのです。
このように自律神経免疫学はクライアントの現在の身体の状態を知る手助け
になってくれると思います。がん治療についての福田安保理論は批判も多く、臨床的にも推奨することはできませんが、自律神経免疫学自体は治療の
ツールの一つとして身体の成り立ちや仕組みを理解することでより治療は
立体的に広がっていくと思います。
解剖学、生理学、免疫学をより深く勉強することで一人でもクライアントを
苦しみから救うことが出来るように一緒に頑張りましょう!。

参考図書
免疫力で理想の生き方・死に方が実現する 安保免疫学の完成
さくら舎

では、皆様
またお会い致しましょう!


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